うお座 神話

うお座に関する神話をいくつかの書籍より集めています。

~~~~~~~~~~ 

「星空の神々-全店88星座の神話・伝承」編

~~~~~~~~~~ 

★魚となったエロース
 あるとき、神々はナイル川のほとりに集まって宴会を開いた。名のある神も無名の神もともに集まり、ニンフたちとともに踊っては楽しいひとときを過ごしていた。


 ところがそのとき、宴会の騒ぎを聞きつけて、怪物テュフォンが現れた。テュフォンはかつて大神ゼウスの率いるオリュンポスの神々と戦ったティタン神族の生き残りで、恐ろしい力をもつ怪物である。


 この突然の閲人(らんにゅう)者に、神々は驚いてちりぢりに逃げ出した。


 美の女神アフロディテーとその息子エロースはナイル川へ飛び込んだ。だがテュフォンから素早く逃げるためには姿を魚に変えなくてはならなかった。そしてお互いにはぐれないように紐でつないだ。この魚の姿が天に昇り、魚座になったという。


 なお、このとき宴会に参加していた牧神パーンも川へ飛び込んで魚へと化けようとしたが、、あわてていたために上半身は山羊、下半身は魚というなんとも滑稽な姿になってしまった。これがあまりにおかしかったため、ゼウスが記念して山羊座にした

 


★恋するエロース
 ある国に3人の王女がおり、その末娘プシュケーはとびきり美しいと評判であった。
 ブシュケーの評判が美の女神アフロディテーをしのぐほどになると、アフロディテーは嫉妬に怒り、エロースに「プシュケーが世界でいちばん下賤な男に恋する」よう命じた。


 ところが、エロースが恋の黄金の矢でプシュケーを射ようとしたとき、過って鏃(やじり)で自分の親指を傷つけてしまい、エロース自身がプシュケーに激しく恋するようになってしまったのである。


 一方プシュケーは、美しすぎるためにかえって誰も婿のなり手がなかった。

 

 そこで神託を伺うと、「花嫁衣装を着せて山の頂に置け。神々ですら恐れる者が婿になろう」という答えが返ってきた。プシュケーの家族は悲嘆に暮れたものの、神託に逆らうことはできず、言われたとおりにプシュケーに花嫁衣装を着せて、山の頂に独り置ぎ残した。


 プシュケーは恐ろしさに泣いたが、やがて夜になり、プシュケーは泣き疲れて眠ってしまった。


 目を覚ましたとき、プシュケーは自分が素晴らしく壮麗な宮殿にいるのを知った。


 宮殿の人の姿はまったくなかったが、必ず見えない誰かが給仕や案内など彼女の世話をした。


 夜になると真っ暗な寝室に男がやってきて、プシュケーにやさしく語りかけた。はじめは怯えていたプシュケーもやがて心を開き、男を愛するようになっていった。


 ただひとつ、男は「決して私の顔を見てはいけない」とプシュケーに言い聞かせていた。プシュケーはもはや男に断ちがたい愛情を抱いていたので、黙ってそれを受け入れた。


 そんなある日、プシュケーは2人の姉を宮殿に招待した。姉たちは宮殿を見るやその壮麗さに目を見張り、妹に激しく嫉妬した。


 だがブシュケーから夫の顔を一度も見たことがないと聞くと、姉たちはいぶかり、「その男は化け物にちがいない、いまにきっと取って食われてしまうから、男が眠っている隙に殺してしまえ」とプシュケーをそそのかした。


 プシュケーは話を聞いているうちに、姉の言うことが正しいと思いはじめた。


 その夜、プシュケーは男が眠るとベッドを抜け出し、燭台と短剣を手にそろそろと男こ近づいた。


 ところが燭台の光に照らされた男の顔は怪物などではなく、金色の髪をした美しい若者エロースだったのだ。気配に目を覚ましたエロースは、プシュケーが言い付けを破ったことに大いに立腹し、さんざんプシュケーをなじって天上へと去ってしまったのである。

~~~~~~~~~~

「星空の神々-全店88星座の神話・伝承」