おうし座 神話
おうし座に関する神話をいくつかの書籍より集めています。
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「星空の神々-全店88星座の神話・伝承」編
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★エウローペの失踪
フェニキアの王、アゲーノールには3人の息子と一人娘のエウローペがいた。
あるとき、大神ゼウスはオリュンポス山の頂から下界を見下ろし、フェニキアの海岸近くで戯れるエウローペの姿を兇つけた。エウローペの美しさに懸想したゼウスは、妻ヘーラーの目を逃れるため、1頭の牡牛に姿を変えてフェニキアヘと降り立った。
ゼウスの変身した牛は雪のように白く、透き通るような角をもち、とてもやさしい目をしていた。
エウローペは突然現れた牡牛に驚いたものの、その美しさに見とれてしまった。
エウローペは牡牛に恐る恐る近づき、摘んだ花を差し出すと、牡牛は鼻面をエウローペにこすりつけて喜んだ。
こうして牡牛と戯れるうち、エウローペの心からはすっかり恐れが消えて、ついにエウローペは牡牛の背にまたがった。
すると途端に牡牛は海に向かって走り出し、ざんぶと飛び込んで海を渡りはじめた。
背上のエウローペは恐怖におののきながら、牛の角をしっかりとつかみ、遠ざかる陸地を見ていることしかできなかった。
やがて牡牛はクレタ島にたどり着いた。このときのゼウスの変身した牡牛の姿が星となり、牡牛座になったのだという。
★怪物ミノタウロス
ゼウスとエウローペはミノス、サルペドン、ラダマンテュスの3子をもうけたが、のちにエウローペがクレタ王アステリオスと結婚したため、王位はその子らに引き継かれることとなった。
ところが、誰が王位を継ぐかという問題があった。このときミノスは自分こそが正当な王位継承者であると主張し、その証拠として自分の望みは神々によってなんでも叶ええられるのだといった。
ミノスは海神ポセイドンに、生け贄として捧げるための牡牛を1頭遣わしてくれるように折った。
ミノスの祈りは聞き届けられ、海中より波を分けて1頭の立派な牡牛が現れた。
これにより、ミノスは晴れてクレタ島の王位に即くこととなったのである。
ところが、その牡牛があまりにも素晴らしかったので、ミノスは生け贄に捧げるのが惜しくなり、その牡牛を自分のものとして、ほかの牛を生け贄にしてしまった。
ポセイドンは誓約を破ったミノス王に大いに腹を立てた。
そこで報復のため、ミノスの妻パシパエが、彼の遣わした牡牛に道ならぬ恋心を抱くようにしむけたのである。
パシパエは日増しに募る牡牛への恋情に煩悶(はんもん)し、ついにクレタに亡命していたアテナイの工人ダイダロスにこっそり相談した。
するとダイダロスは木の板で牛の形を作り、外側に牝牛の皮を張って、本物そっくりの牝牛の張りぼてを作った。
そしてパシパエをこの中に潜ませ、例の牡牛のいる牧場へと曳いて行ったのである。
ポセイドンの牡牛はその張りぼてを本物の牝牛と思い、挑みかかった。こうしてパシパエの想いは遂げられたのである。
しかし、その交わりが元でパシパエは1人の恐るべき子を身ごもった。なんとその子は人間の身体に牛の頭をもっていたのだ。
子は祖父の名にちなんでアステリオスと名付けられたが、人々はこの呪われた子をミノスの牛、ミノタウロスと呼んだ。
このミノタウロスはたいへん狂暴で人肉を好んで食したため、ダイダロスの作った迷宮に閉じ込められ、やがて英雄テセウスによって退治されるのである。(冠座、南冠座を参照)
なおこの元凶となったポセイドンの牡牛も、のちにヘラクレスによって捕らえらるのだが、一説にはこちらの牡牛が牡牛座になったのだともいわれる。
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「星空の神々-全店88星座の神話・伝承」