しし座 神話

 

しし座に関する神話をいくつかの書籍より集めています。

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「星空の神々-全店88星座の神話・伝承」編

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★大獅子退治
 ギリシア最大の英雄ヘラクレスは大神ゼウスとミュケーナイの王女アルクメネーの間にできた子だったが、ゼウスの浮気に加えてヘラクレスがひどく優秀な子だったので、ゼウスの妻である女神ヘーラーにひどく憎まれていた。
 ヘラクレスは父アンピトリュオーンからは戦車を駆る術、アウトリュコスからはレスリング、エウリュトスからは弓術を学び、それらをものにしたが、ただひとつ、音楽の才にだけは恵まれていなかった。ヘラクレスに弾琴を教えたのは、かの有名な詩人オルフェウス(琴座を参照)の弟といわれているリノスだったが、ヘラクレスのあまりに物覚えが悪いのに腹を立てて殴ったところ、ヘラクレスは琴でリノスを殴って殺してしまった。
 アンピトリュオーンはそのような騒ぎを再び繰り返さぬため、ヘラクレスをキタイロン山中の牧場に送った。そこでヘラクレスは羊飼いをしながらすくすくと育ったのである。
 やがて成人した彼は、並外れた体躯と力をもつ青年となった。19歳(あるいは17歳ともいわれる)のころには山中に住んで家畜や人を襲っていた獅子を退治し、その皮をはいで頭の部分を兜代わりにかぶっていたという。
 武勇に優れたヘラクレスは、当時オルコメノス国に隷属していたテーバイ国の民を率いてオルコメノス国と戦い、これをうち負かした。この功績によってテーバイの王女メガラが妻に与えられ、ヘラクレスは幸せに暮らしていた。
 だがヘラクレスを憎むヘーラーは陰謀をめぐらし、狂気の女神を遺わしてヘラクレスこ狂気を取り憑かせ、メガラとその間にできた3人の子をヘラクレス自身の手で殺させてしまったのである(ヘルクレス座を参照)。
 正気に戻ったヘラクレスはその罪を償うため、神託によってティーリュンスの王エウリュステウスのもとで10の難業を成し遂げねばならなかった。
 しかし卑劣で臆病者のエウリュステウス王は英雄であるヘラクレスを恐れており。
難業にかこつけてヘラクレスを殺してしまおうと考えていた。そこでまず彼に命じたのが、ネメアの森に棲む大獅子を退治せよというものだった。
 ヘラクレスは命に従い、弓と視棒を持ってネメアの森へ出かけて行った。
 ヘラクレスは大獅子と対峙した。だがこの獅子はただの獅子ではなく、怪物エキドナとテュフォンの生んだ獅子で、不死身の身体をもっていた(一説には、1つの胴体に3つの上半身と下半身をもつ巨人の怪物ゲリュオンの飼っていた猛犬オルトロスの兄弟だったともいわれる)。
 ヘラクレスははじめ弓を射たが、獅子にはまるで堪えなかった。そこでヘラクレスは視棒を振るい、獅子を追い立てた。
そして洞窟に閉じ込めるとその中に入って出口をふさぎ、獅子の首を素手で絞め落とした(殺した、ともいわれるが獅子は不死身であることを考えればそこまでは至らなかったのだろう)。
 ヘラクレスは倒した獅子の皮をはぎ、頭にかぶってエウリュステウスのもとへ持ち帰った。こうして第1の難業は果たされたのである。
 のちにヘラクレスケンタウロスのネッソスの呪い(ケンタウルス座を参照)によって火中に身を投げて死んだとき、この獅子もともに天に昇って獅子座となったのだという。
 なお、獅子の皮をかぷったヘラクレスの姿を見たエウリュステウスは本気でヘラクレスのことを恐れるようになり、それ以降ヘラクレスが帰ってきても町の中へ入ることを許さず、ヘラクレスが戻ってくるという噂を聞くたぴに地面に埋めた大きな青銅の瓶の中に隠れたという。
 また、この獅子の皮はその後、常にヘラクレスが肩にかけていたため、ヘラクレスのシンボルともなっている。

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「星空の神々-全店88星座の神話・伝承」