てんびん座 神話

 

てんびん座に関する神話をいくつかの書籍より集めています。

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「星空の神々-全店88星座の神話・伝承」編

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★最後に去った神
 世界がゼウスの父、クロノスによって治められていたころは、黄金時代と呼ばれていた。
 世界のすべての生き物は老いることがなく、あらゆる恵みは地上にあふれ、いかなる労苦も煩いも知らず幸せに暮らすことができた。


 ところが草木の枯れる冬が生まれ(おとめ座を参照)、銀の時代へと入ると、人々は食物を得るために汗水を流して働かなければならなくなった。


 やがて、人々の間に醜い争いが生まれはじめた。


 それまで神々は地上で人間とともに暮らしていたのだが、争いが広まるにつれ神々は1人、2人と天上界へと去って行ってしまった。


 だが人々は決して殺人だけは行わなかったため、正義の女神アストライアとその妹、慈悲の女神アイドスだけは地上に残って人々に正義を説き続けた。


 アストライアは手に天秤を持っており、争いが起こるとその当事者らを天秤に乗せて正邪を量った。
 正しき人を乗せた皿は持ち上がり、邪なる人を乗せた皿は下がったという。
この天秤でもってアストライアの裁判はきわめて公正に行われたのである。

 

 しかし銀の時代が終わり、青銅の時代になると、人々はいっそう野蛮になり、親兄弟さえも殺し合いをはじめるようになってしまった。


 青銅の時代の人々はお互いを殺し合って自ら滅びた。


 続く英雄の時代は神々を敬う英雄たちが現れ、以前よりはいくらかましな時代となった。
 が、それを過ぎて鉄の時代に入ると人々は完全に堕落し、集団で武器を取って戦争をするようになってしまったのである。


 ここに至ってついにアストライアも人間を見限り、天上界へと去って行ってしまった。

 こうしてアストライアはおとめ座となり、アストライアの持っていた正邪を量る天秤がてんびん座になったのだといわれる。

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「星空の神々-全店88星座の神話・伝承」