みすがめ座 神話

 

みすがめ座に関する神話をいくつかの書籍より集めています。

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「星空の神々-全店88星座の神話・伝承」編

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ギリシアの洪水伝説
 世界が青銅の時代(てんびん座を参照)を迎えていたころ、人々は悪徳に溺れ、互いに争っては殺し合いをしていた。それまで地上で暮らしていた神々は一部を除いて天上界へと去って行ってしまったので、地上はますます荒れ果てた。


 大神ゼウスは世界があまりに惨状を呈するのを見て、天災を起こして世界の人々をすべて滅ぼそうとした。


 さて、そんな荒れた世界にあって、プロメーテウスの息子デウカリオーンとその妻ピュラだけは心正しく、彼の領地であったテッサリアを節度をもって治め、神々を敬うことも忘れなかった。


 プロメーテウスはゼウスが世界を滅ばそうとしているのを知り、息子たるデウカリオーンとピュラだ出よ救いたいと考えた。そこでデウカリオーンに、「箱船を造ってその中に逃れよ」と神託を下した。


 デウカリオーンは言い付けに従って箱船を造り、妻とともに乗り込んだ。


 やがて天災が訪れた。ゼウスは雨を呼ぶ南風を遣わしておもうさま暴れさせ、低くたれ込めた雲を絞っては雪崩のような雨を降らせた。河の神たちにも命令を下すと、河はあふれ出し、洪水となって地上のすべてを押し流した。


 この供水は9日間続き、人類で生き残ったのは箱船に乗ったデウカリオーンとピュラだけであった。箱船はやがてパルナッソス山の頂にたどり着き、2人は無事を感謝してゼウスに供物を捧げた。


 しかし、世界で生き残った人間が白分たちだけだと知ると、どうやって再び人類を栄させればいいのか、デウカリオーンたちにはわからなかった。そこで2人は法の女神テミス(あるいはゼウスともいわれる)に祈り、どうしたらいいかを尋ねた。

 

 するとテミスは「頭を布で覆い隠し、大いなる母の骨を歩きながら後ろに投げよ」と神託を告げた。


 デヴカリオーンたちは母の骨を投げるなどという恐ろしい行為をせよ、という神託に騒然としたが、しぱらく考えた末、デウカリオーンは「法の女神がそのような不敬な行為をせよと言うはずがない。これは大地を大いなる母と見て、その骨とは大地を形作る岩のことであろう」と結論した。


 試しにそぱに落ちていた石を肩越しに放ると、その石は見る見るうちに柔らかくなって人間の姿へと変わっていった。2人は人類が再び栄えるであろう喜びに満たされ、多くの石を抱えて投げた。デウカリオーンの投げた石からは男が、ピュラの投げた石からは女が生まれ、こうして再び人類は増えていったのである。


 こののち、デウカリオーンは人類の第二の祖としての功績を神々に認められ、天に昇って水瓶座となったのだという。

 

 いうまでもなく、この伝説は旧約聖書ノアの箱船伝説に酷似した内容となっている。これはこの2つの伝説の間になんらかの関係があるか、もしくはもともとは1つだった伝説が広がっていくに連れて変化していったものではないかと考えられている。

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「星空の神々-全店88星座の神話・伝承」