へびつかい座 神話

へびつかい座に関する神話をいくつかの書籍より集めています。

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「星空の神々-全店88星座の神話・伝承」編

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★希代の天才医師
 太陽神アポローンテッサリアの王女コローニスが恋に落ち、夫婦となった。
 アポローンはコローニスに自分の使いである、人語を話す白銀のカラスを与えた。
このカラスは天上界と人間界を行き来しては、アポローンにコローニスの様子を伝えていた。


 ところがある日、カラスはたまたまコローニスが1人の男性と親しげに話しているのを目撃してしまった。カラスはあわててアポローンのもとに飛んで帰り、「コローニスが浮気をしていますよ」とアポローンに告げた(道草を食っていて遅くなったた、め、嘘をついたという説もある)。


 アポローンは怒り、矢を放ってコローニスを殺してしまったのであるが、それがカラスの勘ちがいであり、しかもコローニスが自分の子を宿していると知って激しく後悔した(からす座を参照)。


 アポローンはコローニスの亡骸から赤子を取り上げ、アスクレーピオスと名付けた。
 アポローンはアスクレーピオスをケンタウロス族の賢者ケイローン(いて座)に預 アスクレーピオスはそこですくすくと育った。


 アスクレーピオスは頭が良く、さまざまな学問をケイローンから学んだが、その中でもとくに熱心に学んだのは医術だったにれはアスクレーピオスの父親、アポローンが医術の神であることとも関係しているのかもしれない)。


 アスベクレーピオスはケイローンからさまざまな医術の神舶を教わり、やがて彼の右に出る者はいないほどの名医となった。


 アスクレーピオスはその後、アルゴ号探検隊(アルゴ号座を参照)にも参加するなど英雄の1人として活躍していたが、彼のとどまるところを知らぬ才能はついに神々の禁を破ってしまった。アテナイテセウスの息子、ヒッポリュトスを死からよみがえらせてしまったのである。

 

 この自然の理を覆す行為に冥界の王ハデスは激怒し、人神ゼウスに訴えた。このまま人が死よりよみがえってしまっては、地上は人であふれかえり、冥界は寂れきってしまうだろうと。


 ゼウスはその訴えを受け、アスクレーピオスを雷光でもって撃ち殺した。


 この事件で怒り狂ったのがアポローンだった。アポローンは雷光を作ったキュクロブスたち(鍛冶の神ヘパイストスの弟子)を皆殺しにしてしまった。


 その後、アスクレーピオスの罪は許され、天に昇って星となった。これがへびつかい座となったのである。


 アスクレーピオスは死後、医薬の神としてあがめられた。コリントスの南、コローヒスがアスクレーピオスを生んだとされている地エピダウロスにはアスクレーピオスを祀る大神殿が建てられた。ここでは簡単な治療ができる医療院や患者を泊めるための宿泊施設が数多く集まっていたという。


 神殿ではアスクレーピオスの象徴である蛇が養われていたが、それらの性格はごくおとなしく、人に危害を加えることはなかったという。とくに薄茶色の蛇はアスクレービオスの使いといわれ、神聖視されていた。


 なお、アスクレーピオスの2人の息子、マカーオーンとポダレイリオスもまた優れた医者となり、トロイア戦争でともにギリシア軍の軍医として活躍している。

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「星空の神々-全店88星座の神話・伝承」