コップ座

コップ座に関するお話をいくつかの書籍より集めています。

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「星空の神々-全店88星座の神話・伝承」編

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■よく見える季節:5月ごろ。
■20時南中の時期:5月8日
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 この星座の名を聞いたことのある人はあまりいないでしょう。うみへび座としし座、おとめ座の中間あたりにある、小さな目立たない星座です。
 星座を構成する星は4等星以下の暗い星ばかりですが、形は台のついた西洋風の杯に酷似しており、見つけることができれば、なるほどコップだと納得できます。
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 このコップは太陽神アポローン、勇者ヘラクレス、酒神バッカスなど幾多の神の持
ち物といわれているが、その中のひとつ、魔女メーディアの神話を取り上げてみます。

 

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★策略に長けた魔女
 魔女メーディアはもともとはコルキス国の王女だったが、イオールコスの王子イアーソーン率いるアルゴ号探検隊が黄金の羊毛を求めてコルキスに来たとき、イアーソーンに激しく恋をしてしまった。


 メーディアはイアーソーンを排除しようとする父王アイエーテースに逆らい、イアーソーンを助けて黄金の羊毛を手に入れ、彼とともにイオールコスヘと逃れてきた(アルゴ号座を参照)。


 さて、イオールコスの国はイアーソーンの叔父ペリアースによって支配されていた。


 イアーソーンはペリアースに「約束どおり黄金の羊毛を持ってきた。王位を返してくれ」と言ったが、王位を譲る気などまるでないペリアースは約束など知らないと突っぱねた。


 そこでメーディアは一計を案じ、ベリアースの3人の娘の前で年老いた1頭の羊を若返らせる魔法を使って見せた(あるいはイアーソーンの父、年老いたアイソーンを苔返らせたという説もある)。


 この若返りの魔法とは、羊の喉をかき切って魔法の霊薬を血管に満たし、ぐらぐらに湯を沸かした大釜で煮るという凄絶なものだった。が、効果は確かなもので、年老いた羊は見事に若返り、大釜から飛び出して3人の娘の前でぴょんぴょんと飛び跳ねた。


 娘たちからこの話を聞いたペリアースは、白分もぜひ若返らせてほしいとメーディアに頼み込んだ。


 これこそメーディアの待っていたことだった。メーディアはペリアースの喉を切り裂き、そのまま釜で茹でて煮殺してしまったのである。


 このときにペリアースを煮た釜がコップ座になったといわれている。


 ちなみにこの後、イアーソーンとメーディアは叔父殺しの罪でイオールコスを追放され、コリントス国に移り住んだ。しかし、イアーソーンは妻の恐ろしさに嫌気がさしコリントスの王女グラウケーと愛し合うようになった。メーディアは怒りのあまりグラウケーを殺し、自らは竜の曳く馬車に乗って、いずこかへ飛んで行ったという。

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「星空の神々-全店88星座の神話・伝承」