からす座

からす座に関するお話をいくつかの書籍より集めています。

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「星空の神々-全店88星座の神話・伝承」編

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■よく見える季節:5月ごろ。
■20時南中の時期:5月23日
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 からす座は初夏のころ、おとめ座の南西地平線近くに見られる小さな星座です。


 「闇夜のカラス」という言葉があるが、この夜空にまたたくからす座も、どちらかといえば目立たない、地味な星座です。形は4つの3等星がいびつな四辺形を描いており、この星の並びからカラスを連想するのはちょっと難しいです。


 イギリスでは、この星座を「スピカのスパンカー」と呼ぶこともあります。スパンカーとは大型帆船の後部にある縦帆のことで、おとめ座の1等星スピカに対してイギリスの船乗りたちが付けた名だそうです。

 

 日本の石川県でもからす座を「帆かけ星」と呼ぶところがあります。カラスよりもむしろこれらのほうが、形としてはふさわしいでしょうか。
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 神話では、カラスはイルカと並んで太陽神アポローンの主要な使いとされており、もちろんこの星座の神話にもアポローンが大いに関係しています。
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★告げロカラス

 昔、太陽神アポローンが世界の国々を旅していたときのこと。アポローンテッサリアの王女コローニスと恋に落ち、夫婦となった。


 アポローンはコローニスに自分の使いである白銀のカラスを与えた。このカラスは人の言葉を話し、天上界と人間界を行き来してはアポローンにコローニスの様子を伝えた。

 

 ある日、カラスがコローニスのもとにやってくると、コローニスはたまたま1人りの男性と親しげに話をしていた。カラスはあわててアポローンのもとに飛んで帰り、「コローニスが浮気をしていますよ」とアポローンに告げた(道草を食っていて遅く)なったため、嘘をついたという説もある)。


 アポローンは烈火のごとく怒り、1本の矢を放った。矢はぐんぐんと飛び、遠く離れたコローニスの胸にぐさりと突き刺さった。


 瀕死のコローニスは倒れたまま天を仰ぎ、アポローンに「せめて、お腹にいるあたと私の子の命だけは助けてください」と懇願して、こと切れた。


 自分の過ちに気付いたアポローンは激しく後悔した。そしてコローニスの腹を割いて取り上げた息子をアスクレーピオスと名付け、ケンタウロス族の賢者ケイローン(いて座)に託した。この子がのちに、アルゴ号探検隊などの冒険にも参加した名医アスクレーピオス(へびつかい座)となるのである。


 一方、いい加減なことを言ってアポローンを惑わせたカラスはアポローンの不興を買い、人の言葉を話せないようにされたうえ、身体を全身醜い黒に変えられてしまった このときからカラスはガアガアとしか嗚けず、色も黒くなったのだという。


 のちにこのカラスが天上に昇って星となり、からす座となったのである。


  一説には、目の前のコップ座にくちばしが届かないように置かれ、水が飲めないようにされたともいわれている。

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「星空の神々-全店88星座の神話・伝承」